[コミュニティファーム]冬を越えた大根、切干大根に変身
3月20日(土)、札幌でも徐々に暖かくなり雪が少なくなってきました。
この日、私たちは環境NGO ezorock(以下、ezorock)の代表である草野家の畑に埋めてあった大根を掘り返しました。
昨年の11月1日(日)に私たちは約80本の大根を畑に埋めて越冬させていました。
暖かくなってそろそろ雪も融け始めてきたので、いよいよ掘り起こす時期です。
目印に立てておいた棒を頼りに大根が埋められているだろう場所を掘り起こします。
スコップで掘り起こすと大根の頭が見えてきました。
雪と土にまみれてどろどろの大根を頑張って掘り出します。
半分くらい掘り起こせたところで大根を無理やりひっこ抜こうとすると…、写真のように折れてしまいました。
土にしっかり固定された大根を、今度は折れないように深く掘り起こしていきます。
大根を傷つけないように深く掘ることに悪戦苦闘しました。
中には、大根を埋めた深さが浅かったせいで、大根の地表側の部分が凍ってしまい腐っているものも数本ありましたが、大半の大根は地中の冷蔵庫効果によって、新鮮なまま保存されていました。
しかし、気になる点が一つ…。大根の表面には写真のように黒い斑点があります。
調べてみたところ、この黒い斑点は黒しみ病ではないかという話になりました。
黒しみ病は、大根を低温で2ヶ月以上保存すると発生することがあるそうです。
どんどん掘り起こしていくと、畑の中からみみずが現れました。どうやら、冬眠から起こしてしまったようです。動きもかなり遅くて、「まだ寒いのに起こさないでよ」と言わんばかりにゆっくり土の中へ戻っていきました。みみずには悪いことをしてしまいましたね。
さて、大根を掘り起こせたら、ezorockの事務所に運び、いよいよ切り干し大根にする作業に取り掛かります。
まずは、泥だらけの大根をひたすら洗います。水もかなり冷たい中で、大量の大根を一本一本洗うのはなかなか大変な作業でした。畑から収穫された野菜は土が付いていて普通なのです。
こんな作業を経験すると、スーパーに並んでいる大根はあまりに真っ白できれいなことに違和感を覚えます。
さて、洗い終わるとあとは皮を剥いて細長く切るだけ。と一口に言っても、量が多いのでこれもまた大変な作業です。
本来は皮を剥かなくても支障はないようですが、表面の黒い斑点を取り除くため厚めに皮を剥きます。
そして、フライドポテトよりも少し細めに切ります。試しに切った大根を食べてみると、とても甘くてまるで梨のようでした。
このように越冬した大根が甘くなるのは、寒さから身を守るために糖度を高めるからだそうです。
作業が全て完了する頃にはezorockのオリジナルごみ袋1枚でも足りないのではないかと思われるくらいの大根の量になりました。
これを2つに分け、オーガニックファームチームのもえとひかるの自宅で干します。
天気も良くて風が強ければ1〜2日で、遅くても2週間で完成します。
きれいに洗って、切って干すだけ。量が多くなければ意外に簡単にできます。
みなさんももし大根が余ったときは、是非ご家庭でお試しください。
今回は”漬けもの”ではない”保存食”に挑戦しました。
漬けもののように発酵させるだけでなく、細かく切って乾燥させて長期間保存できるようにする。
先人の生きるための知恵は素晴らしいですね。
さて、この作業で2009年度に植えた大根はすべて収穫し終わりました。
次年度もまた、これらの経験を活かしてより元気な大根を作りたいですね。
文章:松尾ひかる(ひかる)