【連載|対談】ezorockers YOHEI ITO ~楽しさからスタートして、何かもっとできないかって~

ezorockの『人』に着目したコラム第19回目です。今回はお花大好きよーへーの登場です。1年目だった前回から、リーダーを経ての2回目の対談。熱中すると思い切り入り込んでしまうよーへーらしく、熱い語りで、高山植物や旭岳での活動について話してくれました。

PICK UP

✔ 面白いからスタートして、そこから提案したり、模索してきた
✔ なんでこの植物はここにあるのか、場所や理由が気になり始めた
✔ ezorockで出会ったこと、感動したことが今すごく大事
✔ 自分の気持ちだけで突っ走っちゃっても評価はしてもらえない
✔ 監視員さんにも、初めて来る人にも意味のある活動にしたい

PROFILE

名前:伊藤陽平(いとうようへい)
あだ名:よーへー
所属:東海大学札幌
ezo所属:大雪山国立公園旭岳自然保護プロジェクト
出身地:愛知県岡崎市
特徴:無限神刀流居合術の2段を持っている

名前:高橋苗七子(たかはしななこ)
あだ名:ななこ
所属:ezorock
出身地:北海道旭川市
特徴:バカボンドの連載再開を待ち望んでいる

 

「楽しい」から「知りたい」へ

な:よーへーがエゾロックに入ったきっかけの記事って実はもうあるんだよね。
よ:話しちゃったんですよね。
な:前はいつだっけ?
よ:2015年。1年生のときですよね。
な:そっか。今は2018。丸2年前か、ちょうど。で、次4年生になろうとしてる。え~。
よ:いやぁ、年とったなぁ(笑)
な:やっぱ4年間見る学生とかって感慨深いよね。前ってどういう記事だっけ。「ホームページ見てすげー楽しそうって思って、実際行ったらめちゃくちゃ楽しくて、景色に見とれすぎてて足をくじいた」っていう(笑)。
よ:(笑)。面白いからスタートしたんだけど、だんだん山の崩れているところとか、植物がダメになっているところとか気になり始めて、2年目からは「どういう問題なのかな」とか、知りたいって思ったことについて旭岳自然保護監視員さんとか先生とかに聞きに行くことが多くなった1年になりましたね。まあ自己満足なんですけど、何かもっと知れないか、何かしらもっと活動できないかって思えてきて、そういうことを提案したり模索したりしていたのが2016年。っていう印象。

 

いろいろ調べているうちに、これだわ!って

よ:2016年は、植物中毒みたいな感じだったと思うんですよね。高山植物や山の本とかを何十冊も読み始めた時期で、植物しか見てなかった。
な:で、ミーティングの中の勉強会でさ、高山植物のなんとかソロジーみたいな。
よ:あ~、フェノロジー、季節変化みたいなことですかね。今思うと専門的過ぎましたよね(笑)。
な:でも、ちゃんと勉強して話してくれるから、毎回面白かったよ。本とか論文読むの好き?
よ:大好きです。一回それって思うと、もう徹底的に見ないと気が済まないっていうか、好奇心に任せて動いちゃってるところが結構あって。
な:よーへーは研究者になりたいって言ってるけど、いつ頃からそういうふうに思ったの?
よ:やりたいって思うようになったのは、2016年の勉強会のとき。いろいろ調べているうちにびびっときて、これだわ!って。
な:そこでびびっときちゃったんだ。
よ:きちゃったんですよね。きちゃうとやばいんですよね(笑)。コアスタッフとして旭岳に行きまくるっていう特殊な体験のおかげだと思うんです。楽しいを超えるものが芽生えだしたっていうか。植物の名前を知って満足とかそう言うんじゃなくて、なんでこの植物はここにあるんだろうとか、今なんでこんなになっちゃったのかな、とか気になるようになっちゃって、それを知るためにはどうしたらいいのかなって考えるようになった。
な:ボラ旅が一番やりたかったことって、やっぱり現場で魅力とその反対側の課題を目の当たりにして、それじゃあ自分はどうしたいのかとかを興味を持って調べるとか、自分から行動に移すようにするってことだと思うんだ。他だと、だいたい1カ月とか半年とかのプロジェクトをやってるんだけど、ezorockではわざとコアスタッフっていうぼんやりした制度にしてるから、いつ入っても、いつ抜けてもいい。良くも悪くも決まったプログラムがなくて、ここでこれを学ばなくてはいけない、理解しなくてはいけないっていう決まりがないんだよね。実際活動に行って気づくことって100人いれば100通りだと思うんだ。本当に全員バラバラで、いやこれはプログラムに無理矢理埋め込むのは無理だろうって。なんか今それをよーへーが言ってくれたって感じ。

 

ぼやぼやしているからこそ、出会える瞬間がある

よ:最初はこれを見ようって思って行くんですけど、別のところで「はっ!」って思うこととかたくさんあって、思い返すと本来の目的じゃなかったところで影響されて、今の自分になったっていうところがあるんです。調査と違って、ボランティアとかこういうプロジェクトっていうのは、本当にいろんな人が来てるから、いつもとは違う出会いがあって、新しい気付きをくれたりする。ぼやぼやしているからこそビビッとくる瞬間がたくさん転がってるっていうか。そういう意味で、ezorockを知らなかったら、絶対出会えなかったものっていうか、感動できなかったことがたくさんあって、今すごく大事になってる。来年はきっと研究とか忙しくなって、ezorockへのコミットがすごく低くなるからちょっと寂しいな。
な:でも、来年度が研究にぐっと集中していく時間になるっていうのは、ある意味次のステップっていうか。見つけたことを具体的にできたっていう、いい話なんだと思う。
よ:自分はこれが好きだっていうのを、昔はあんまり言えてなかったんですよ。もし、生で旭岳の高山植物を見てなかったら今の選択はないし、もしこの活動なかったらなんとなくやってたのかなって。今僕はこれを心からやりたいと思っているし。
な:もしこの活動に出合ってなかったらどうなったのかな。
よ:そう思うと面白いですね。なんか。ちょっと先輩に誘われて行ってみたことで、すごく影響されているっていうか。

 

全員が自分の好きなものを好きなわけじゃない

な:よーへーがやってみたことで印象的だったことってなに?
よ:2016年は活動の中で自分も主体的にやりたいなと思って、活動毎のリーダーとかまとめ役に、挑戦してた。あと、勉強会はしっかりやりたいなと思ってすごい作り込んでいったかな。それから、とある全然違う分野の人たちが集まるワークショップでたまたま発表する機会があったんですけど、いつものように植物とかについて熱く語ってもまったく反応がなくて、「やばい、どうしよう。」って。実際その人たちは、広報のやり方について知りたかったみたいなんです。で、やっぱり全員が自分の好きなものを好きなわけじゃないし、自分の気持ちだけで突っ走っちゃっても評価はしてもらえないから、何のために参加するかとか、興味のない人にはどういうふうに話したら乗ってくれるのかなとか、考えなきゃいけないなって、終わってから家でずっと考えちゃって。
な:確かに、外で話す機会っていうのは、あの年はすごく多かったね。

 

自分の限界を超える部分があって泣きそうになった

な:ezorock内で完結しちゃってる部分もあるから。外に放り出されると、いろいろ学びがあるよね。
よ:めっちゃありました。でもこれからもこういうことって絶対あるから、うまく相手の欲しいものを提供しつつ、自分のことも織り交ぜて話さなきゃダメだなって。2017年は、ある程度そういう経験をいっぱいした上で、僕がチームのリーダーになって、いろいろ提案して動いていた年。大学での説明会でも、自分が初めて参加したときの気持ちを思い出しながら説明しようとしたりとか、工夫をし出したかな。年末にやった全国大学環境活動コンテスト(ecocon)でも「何を伝えたらいいんだ」、「どういう資料にしたらいいんだ」ってすごく思い悩んで、そのときに自分は普段絶対に読むことはない本「人への伝え方」とかいう本をめっちゃ読みましたね(笑)。自分は発表が苦手なんで、ふっと自分の限界を超えて泣きそうになった時とかもあったんですけど、まあ辛い経験でした(笑)。

な:なにが辛かった?
よ:いっちゃう?(笑)ベスト2くらいを言うと、まず僕は好奇心があると一人でうわーっとやっちゃうタイプだから、今回もそうやろうとしたんですけど、一人でやるには量が多すぎたり難解すぎて、いっぱいいっぱいになっちゃったんですよ。でも、量が多いときとか自分でできないときは「できない」って言って人にお願いしたほうが、自分も楽だしやるべきところをしっかりやれるっていうのを、身をもって実感して。
な:「みんなでやる」っていうところをすごい模索してたなって、見てた。やっぱりみんなが全員主体的だったりするわけじゃないから、やる気があったり、手を動かすのが早かったりする人がやることが多くて、他の人に対する不満が積もるってことはあるよね。そこで初めてぶつかってたよね(笑)。
よ:うん。そのおかげでよりいい関係性になった。ぶつかることもたくさんあったんですけど、やっぱりやりやすくなったし、ものごとも進むようになったなって思う。ほんとに叩きのめされてわかったっていうか(笑)。

いろんな人に意味がある活動にしたい

よ:深い話になっちゃうかもしれないけど、今まで結構旭岳自然保護監視員の人が決めたものをやって帰るっていうのが多かったと思うんですけど、続けているうちにそれだけなのはおかしくない?っていうふうに思えてきて。山岳業界って結構高齢化が問題になってるって知ることで、じゃあこの活動で若い人を連れていくってどういうことかっていう意義を考えるようになった。僕らが行くことが監視員さんや自然にとっても意味があるようにしたいっていうか。同時に、初めて参加してくれて、ただ自然が楽しいなぁって思っている人に、なんか意味のあるものにならないかなぁとも思ってて。続けて行くうちにいろんな視点が出てくるから、それを思いながら山を歩くのと、ただただ楽しいなぁって思って歩くのでは全然見えるものが違うんですね。僕自身も参加者が見てる目線で自分にないものがあったら学びたいと思うし、やっぱり常に学ぶっていう姿勢を崩したくないなっていうのを、…全然まとまってないですけど最近はすごい考えてます。

おまけ~お花畑を見ると心が躍り出す

な:お花エピソードを聞こうかな。
よ: 1500m以上の高地にある花って、めっちゃカラフルで赤とか黄色とか緑とか、たくさんあって、それが広い範囲に一面にワーッと広がって、それがお花畑みたいになっているんですよね。本当に過酷な環境で絶対寒いし、風もすっごい強いところで、毎年そんなお花畑を作っているっていう、そういうのを見ているだけで僕だけかもしれないですけど、無意識に心が躍り出すっていうか(笑)。一番に自分が真剣になれるっていうことは、やっぱり自分の気持ちが昂ることっていうか、だからこそこれから研究をしたいなって。将来そこの仕事をできるのかはわからないけど、研究ってできるっていうんだったら、自分のすきなことをやりたいなっていうか。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後もezorockで活動するコアスタッフ達を紹介していきます。

次回も楽しみにお待ち下さい。
そして、ぜひ活動にも参加してみて下さい!

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