【連載|対談】大雪山自然学校・小沼秀樹さん~だんだん山っぽい人になってくる~

ezorockの『人』に着目したコラム、今回は特別版です。ezorockでは他の団体と連携して活動することがほとんどのため、現場でしか出会えない連携先のスタッフが多いという特徴があります。そのため、今回はそのスタッフさんの声を直接みなさんにご紹介します!

今回は、旭岳自然保護プロジェクトのメンバーを迎えてくれる、NPO法人大雪山自然学校・小沼さんです。ボランティアの受け入れ側から、ezorockのメンバーやボランティアはどんなふうに見えているのか。そんなところをフランクにお話してくれました。山で働く小沼さんの人となりが伝わってくる言葉がいっぱいです。

PICK UP

✔ ボランティアが何人も来てくれるから、スタッフ個人のスキルが上がった
✔ 最初来た頃はどうなることかと思ってたけど
✔ 回を重ねるとだんだん山っぽくなる
✔ 山にはいろんな人に来てほしいけど、やっぱり人も登山道に大きな影響を与えてる
✔ 山を好きになってくれたら、もっと来る人の幅が広がる

PROFILE

名前:小沼秀樹(こぬまひでき)
あだ名:こぬー
所属:大雪山自然学校
出身地:北海道旭川市
特徴:聖闘士星矢を全巻持っている

名前:高橋苗七子(たかはしななこ)
あだ名:ななこ
所属:ezorock
出身地:北海道旭川市
特徴:MAJORを全巻集められなかった(60巻で挫折)

ezorockとは6年目

な:自然学校の活動では何をしているかと、どこでezorockと繋がっているかを教えてください。
こ:子供の自然体験、エコツアーとか。受託事業で、国立公園の管理、エキノコックス対策とかそういったことをしている。で、ezorockに来てもらっているのが国立公園の管理だね。
な:国立公園の管理って、どういうことを?
こ:東川町に「大雪山国立公園連絡協議会」っていうのがあって、環境省とか東川町、北海道、温泉街の方々とかが関わっている任意団体で。そこから姿見の池散策路とか、旭岳温泉街とか天人峡とかの管理をしてくださいっていわれている。清掃もそうだし、登山道の簡単な補修とかそういったことかな。
な:旭岳自然保護監視員さんは毎年何名くらいいるんですか?
こ:7名くらいかな。けど、シーズン中フルでいるのは4人くらいです。

な:ボランティアメンバーは、年8回くら行っていると思うんですけど。どういうことをしてますか?
こ:大きく分けて外でやる活動と、中っていうか室内でやる活動があって。外は巡回、ごみ拾い、登山道の補修がだいたい主なもの。中での活動は、姿見駅で利用者へレクチャーするとか…マナーの啓発だったり現地の案内だったり、何か聞かれたときに答えてもらうのが主なものかな。
な:ボランティアが行き始めたのが2012年で、6年目が終わった形ですね。
こ:俺が旭岳に入ったのは2011年かな。ちょうど、ezorockが来はじめたくらいから?

ボランティアのおかげでスキルが上がってる気がする

な:ezorockが来て何か変わったところはありますか?
こ:国立公園自体が変わったっていうことは、あまり実感ないけど。ただ、この仕事って自分が淡々とやるっていうか、個人で動くっていうか。でもボランティアが何人も来てくれるから、どうしても、教えたり、関わらざるを得ない。俺を始め、今まで教えたりしたことがない人も結構いたので、すごく個人のスキルが上がったんじゃないかなって思う。
な:ちっちゃい作業…たとえば巡回とかでも、最初、連れて行ってくれる時に毎回教えてくれますよね。今はコアスタッフがいたら「巡回行っておいで」みたいになってるけど、そういうふうにできるようになったのも、最初丁寧に毎回教えてくれていたから、ボランティアが今度は初めて来た人たちに教えているのかなって思います。
こ:あぁ。そうかな。それは成長だね。彼らのね。

 

山はすごく人と関わる場所

こ:メンバーとのエピソードはいろいろあるよね。面白いのも含めて(笑)
な:面白いの、教えてください(笑)
こ:コアスタッフが最初来た頃は、どうなることかと思ってたけど(笑)。でも、この子はきっと一回で終わるんだろうなって思った子が、ずっと来るとかさ。山っぽくない人っているでしょ。でも回を重ねるとだんだん山っぽくなるんだよね。すっかり。
な:変わりますね。意見を言えるようになる子とか。それまで人の顔色をうかがって、「よくわかんない」とか言ってたのが、だんだんと主張するようになったりして。
こ:すげーじゃん。まあ、山の影響だけじゃない思うけどさ。やっぱ4年間見ている子とかは、本当に変わったなって思うことがあるよね。
な:小沼さんが思う旭岳の魅力はどんなとこですか?
こ:景色もきれいだし花とか動物とかもいろいろいて、そういう面でもすごく魅力的だけど。本当にね、いろんな人が来るんだ。俺もね監視員の仕事して思ったのは、すげーいろんな人と知り合えたなっていうが、魅力だなって思うんだよな。いろんなところでガイドをしている人に会えたり、一般の人でも、一回来て、また次の年に来て、「ああ、久しぶりですね~」なんて結構そういうことがあるのさ。
な:メンバーにとっては監視員さんとも出会いですよね。

 

遠くから見てて、大雪山登ってみてーなーって思ってた

な:この仕事の好きなところってどんなところですか?
こ:やっぱりいいところは、自然の中にいられることかな。
な:もともと好きだったんですか?
こ:そうだね。山は登ってたかな。この仕事する前も。
な:旭川出身なら、この辺の山はもう…
こ:そうだね。大雪山は登ってたかな。
な:家がそういう感じだったんですか。
こ:いや、そうじゃなかっただけど。家からさ、旭岳が見えてたんだよね。まあ旭川でちょっと高いところに住んでたらどこからでも見えるんだけどさ。でも、見てて登ってみてーなーって思ってて。社会人になって、最初は黒岳に登って。で、他も登りたいけど一人じゃちょっとな…って思っているときに、職場の人でも登っている人がいて、で一緒に連れて行ってもらうようになってからは、いろんなところ登ったかな。

登山道が歩きやすさと植生を守ってる

な:普通は、登山道とか自然を管理する人が必要っていうのは、わからないと思うんですね。管理ってどんなことなのか教えてください。
こ:大雪山は広いから、もちろん管理が行き届いているわけじゃないんだ。そんなの無理だと思うけどさ。姿見の池や旭岳とか人が多く来るところは特に管理が必要でしょ。黒岳もそうだし。しないとどうなるかっていうと、登山道が壊れたら人が歩けなくなっちゃうし、怪我したりもするだろうし。あと、自然を守るっていう意味でも登山道補修って大事で。たとえば一見普通の階段に見えているようなものでも、実は土砂の流出を防いで、山の植物を守る役割をしていたりするところもある。それに、人が増えるとやっぱりごみも増えるからさ。きれいにしなきゃいけないし。
な:土砂の流出っていうのは、山に行っているだけでは感じないと思うんですけど、やっぱり頻繁に起こりうるものなんですか?
こ:頻繁に起こりうるね。雨が多いとそうなるし、あと雪もすげー降るじゃん。だから雪解け時期は、特になりやすい。それもまた、登山道の上を川みたいになって流れる。
な:そう聞くと道を見る目が変わってきますよね。
こ:変わる変わる。特にボランティアで来てくれてたら、定期的にみられると思う。

 

人によるダメージは結構大きい

こ:山にはいろんな人に来てほしいけど、やっぱり人も登山道に大きな影響を与えてると思う。歩いててさ、半分だけ埋まっているような石を蹴ったりするでしょ、そうすると、そこに水が入ってその穴からどんどん削れていくのさ。
な:それは見ててわかりますか?
こ:わかるわかる。人も結構影響大だよ。
な:人と、雨と、雪と。わりと重要な場所でそういうのが重なると大変だよってことですよね。管理してないと。
こ:片や、雨が少なくて人がいっぱい来てもダメージがあるし。
な:この間対談した子が、モノづくりが好きで、ルアーを作ったりもするんだけど、それで釣れるかどうかによって自然から答えが返ってくるって。それが登山道整備ともつながるって話をしてくれて。
こ:あぁ。そうだね。すぐに反応はわかんないかもしれないけど。直した後に来て壊れてなかったらうれしいかもしれないね。
な:うれしいですよね。あぁ、なんかこの道落ち着いたなっていうか。
こ:分かるでしょ? そうそう。でもたまに一年後とかに壊れることとかもあるからね。それショックだよね。「うわ、壊れた~」ってね。
な:さっき、階段って話出てましたけど。歩きやすくて道が崩れるのも阻止しているって思ったときうれしい。みんな気付かないだろうけど。
こ:当たり前な感じで歩いてるけどね。けど、実際さ、みんながそうやって手伝ってくれて、お客さんから「なんか最近道良くなったね」っていわれることもあるんだよ。
な:へぇ! それはめっちゃうれしい。

 

理解者を増やしたい

な:結構、監視員さんに会えたことがよかったと言うボランティアが多くて。いろいろ教えてくれるし、接し方も考えてくれてるなって。
こ:ありがとうございます。
な:活動をし始めたときに、自然学校のスタッフさんがボランティアを受け入れる意味を丁寧に説いてくれたから、安心してスタートできたというのがあって。それが今も引き継がれているっていうか。ボランティアが来ると本当は手間もかかるんだろうけど。
こ:(笑)。そうだなぁ。最初、彼らが来てくれて山を好きになってくれたら、もっと来る人の幅が広がるだろうし…って言ってたなぁ。
な:そういう人が社会に出て行ったら、山の理解者が増えるみたいなことも言ってましたよね。そのときは結構途方もないなって思ったけど。ちょっとずつ増えてきていると思います。
こ:そりゃそうでしょ。だってやらなかったら0だけど。毎年延べ200人近く来てくれるわけでしょ。一回来るだけだって見方が変わったりするときもあるからさ。でも遠くに行っちゃったスタッフとかもさ、なんかやっぱり愛着があったら、離れててもきっと来るよね。

おまけ~おススメのお花と動物

な:全然関係ないこと聞いていいですか? 小沼さんおススメのお花と動物、教えてください。
こ:俺、動物だったらエゾシマリスかな。見てて面白い。あのすべてにおいて素早すぎる動きとか。えさの食べ方とか、掻いてるときとか、はえぇなって思うよ。かわいいっすよ。
な:ちょっとコミカルですよね。早いのにちょっと止まったりするから、よけいですよね。
こ:そうそうそう(笑)。花は、ミヤマリンドウが好きなんだよね。結構。小さいけど濃いムラサキ。
な:かわいいですよね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後もezorockで活動するコアスタッフ達を紹介していきます。

次回も楽しみにお待ち下さい。
そして、ぜひ活動にも参加してみて下さい!

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